補足: 本記事は AI(Claude)が私の最初のメモと着想をもとに仕上げたものです。
前回、教訓には昇格の手順があると書いた。まず記憶に落とし、同じ誤りを二度正してから、ルール文書へ上げる。あの一段落が書いていたのは、最初の一段だけだった。
実際には四段ある。
容れ物は製品が用意してくれる。自動記憶、自動で読み込まれる CLAUDE.md(@path 記法つき)、スキル、hook。だが、どのルールをどの容れ物に入れるかは何も言わない。いつ上の段へ移すべきかも言わない。この梯子は自分たちで組んだ——しかも途中に、製品が知らない段を一つ差し込んである。
書き下ろしたのは今日だ。だから先に言っておく。この記事は方法であって、経験ではない。
| 段 | 誰が起動するか | 代価 |
|---|---|---|
| 記憶の一項目 | このプロジェクト、この機械だけ | ほぼゼロ |
参照文書(docs/workflow/*.md) | モデル。ただしその作業だと気づけば——柔らかい起動 | 読まれたときの注意力 |
| スキル(slash command) | 使う人が /name と打つ | 呼ばれるまで無料 |
| hook | 誰でもない——勝手に鳴る | すべての prompt に課金 |
二段目は製品のものではない。Claude Code に「参照文書」という概念はない——あれはリポジトリに置いてあるただのファイルで、隣の README と何も変わらない。読まれる理由はただ一つ、常時読み込まれる CLAUDE.md の中の一行がそこを指しているからだ。「サブエージェントに委任するなら、まず委任文書を読め」と。
だから安い。常駐の重さを食わない。多少長く書いても、毎回のセッションの出だしが重くならない。
だが、意図的に当てにならない。いま自分がやっているのが、その文書の扱う作業だと、モデルが気づくかどうかに賭けている。気づけば読み込まれる。気づかなければ、誰も開かなかったファイルのままだ。
hook と並べると要点が出る。hook は誰が選ぼうと選ぶまいと鳴り、そのかわりすべての prompt に課金され続ける。
つまりこの梯子が交換しているのは「少し確実になる代わりに少し高くなる」ではない。一段上がるごとに、代価は金額ではなく通貨が変わる。 記憶はほぼゼロ。文書は注意力を、読まれたその瞬間だけ。スキルは誰かが覚えておく名前を。hook はすべての prompt の重さを。四つの通貨は足し合わせられない。
足せないから、「安い」「高い」では決められない。だから段と段のあいだには、それぞれ固有の問いが要る。
文書 → スキルの判定はこれだ。
文書は、すでにやっている作業を縛る。スキルは、その作業そのものだ。順序のある手順であるとき、道具を動かすとき、名前で起こせなければならないとき——上げる。
二つ目が核心だ。誰かが思い出したときだけ効くルールなら、スキルにするのは、その起動を人の記憶に預けることに等しい。
文書・スキル → hook の判定はこれだ。
証拠で上げる。予感では上げない。「これはいずれ忘れられそうだ」は理由にならない。それは想像であり、想像はいつも hook を増やす側に票を入れる。証拠とはこういうものだ——ある指標の行が、数回続けて低い。あるいは同じ抜けが記録に繰り返し現れ、回数と期間を数えられる。
本当に上げるなら、形も選ぶ。取り返しがつかない害には止める hook を、失敗が「やり忘れ」でしかないなら促す hook を。
「静かに」は飾りではない。派手に失敗するものに hook は要らない——それは自分で騒ぐし、こちらも自然に対処する。hook は、破られても誰も気づかないルールのためにある。
上がるだけの梯子は、重くなる一方だ。
方法は地味だ。ルールを外し、その指標の行を数回のあいだ眺め、下がったら戻す。
この段の実例はゼロだ。元の文書自身がこう書いている。「ここではまだ何も降格されていない。これは方法の記録であって、係属中の案件ではない。」その一文はそのまま残しておく。
罠は一つだけ、しかも踏みやすい。守衛がいるあいだ何も起きなかったから、という理由で守衛を外してはならない。 守衛の下で失敗がないことは、守衛が遊んでいる証拠ではない。この二つは外から見ると見分けがつかず、外してみて初めて分かれる。
もう一つ限界を言っておく。「その行を見る」は以前の記事で書いた計測の道具に頼っており、その評価表に実際に行を持つルールにしか届かない。行を持たないルールの証拠は、記録の中で数えた再発回数しかない。ならば数字を言うこと——何回、どれだけの期間で。「よく忘れる」は証拠ではない。
この線を引かないと、読む側は二つを混ぜてしまう。
| 製品が与えたもの | CLAUDE.md の自動読み込み、@path の自動読み込み記法、スキル、hook、自動記憶 |
| こちらが足したもの | 参照文書という層、四つを一本の梯子に並べたこと、そして上り下りのすべての判定基準 |
容れ物は道具に付いてきた。どの容れ物にどのルールを入れるか、いつ入れ替えるか——それを配ってくれる者はいない。何度かつまずいたあとで、自分たちで書き下ろした。あなたの版はたぶん違うものになる。あなたの取りこぼしは、こちらの取りこぼしとは形が違うからだ。
| 項目 | 現況 |
|---|---|
| この梯子 | 今日書き下ろしたもの。実務での検証はまだ |
| 下る段 | 実例ゼロ——記録したのは方法であって経験ではない |
| 「その行を見る」 | 評価表に行を持つルールにしか届かない。他は記録を数えるしかない |
育ちつつある agent の設定を抱えているなら、持ち帰れるのはたぶん一つだけだ。このルールの代価は、どの通貨で払うのかをまず問う。 すべての prompt に課金される通貨は、証拠と引き換えでなければ買えない。